旧富士山測候所存亡の危機。新型コロナの影響により、NPOの主要収入源である夏季観測が中止に…
認定NPO法人富士山測候所を活用する会によるクラウドファンディングプロジェクトのご紹介です。
起案者様にインタビューを行いました。
応援よろしくお願いします!
目次
1)プロジェクト概要
2)起案者様ご紹介
3)プロジェクトにかける思い
3.1)クラウドファンディングを選んだきっかけ
3.2)クラウドファンディングで目指すもの
4)成功に向けた取り組み
5)資金の使いみち
6)協会スタッフおすすめポイント
7)メディア掲載情報
8)団体情報
目標金額 | 3,000,000円 |
募集期間 | 2020年6月26日~2020年8月15日 |
支援総額 | 3,910,500円(7月14日時点) 《 130% 》 |
支援者数 | 248名 |
平均支援額 | 15,768円 |
プロジェクト概要
富士山は日本人にとって象徴的な意味をもつ山であり、かつ自然の厳しさと壮大さを教えてくれる場所でもあります。旧富士山測候所は、明治時代から関係者の情熱により、日本最高地点での気象観測を通して人々の安全な生活に貢献してきました。
(CAMPFIREより)
しかし、旧富士山測候所では気象庁の有人気象観測が2004年に終了し、無人化されました。この貴重な施設を活用し、温室効果ガス、越境大気汚染などの観測を行うために、研究者が中心となりNPO法人富士山測候所を活用する会を立ち上げました。
毎年、夏季の7月と8月の2ヶ月間は有人で観測し、延べ400人を超える研究者・学生に利用されており14年目を迎えました。
富士山頂は夏季でも過酷な環境ですが、今年は研究の舞台となる旧測候所内では三密環境が避けられないことから、利用者の命を守るために夏季観測を断念せざるを得ない状況に追い込まれました。気象庁の有人観測終了時、東日本大震災のときにも研究者が力を合わせて凌いできましたが、特に今回は収入源であり、当NPOの最大のウリである夏季観測を行うことができず、力尽きそうな状況です。
起案者様ご紹介
認定NPO法人富士山測候所を活用する会
認定NPO法人富士山測候所を活用する会は、旧富士山測候所を利用して研究・教育を行うことを希望する大学・公的研究機関、教育機関、企業等の研究者に対して、インフラ(研究環境、電源等)と安全管理・ロジステック等の支援を行っている団体である。
(CAMPFIREより)
測候所内において有人観測ができる夏期2ヶ月間は延べ400人強が参加する大規模な観測が行われる。この場所を利用する研究グループの研究分野は多様化しており、PM2.5や汚染化学物質、オゾン、一酸化炭素など、環境観測には欠かせない物理量を多岐にわたりモニタリングしている。
近年の成果として特筆されるのは、地球温暖化問題として最も重要なデータとなる二酸化炭素濃度の通年連続観測に成功し、温室効果気体観測の世界標準となっているハワイのマウナロアの観測と並ぶ世界屈指のデータを取得していることが挙げられる。
一方、教育グループの活用者も多く、高等学校の利用や、市民科学団体の利用など、理科教育の実験室提供としても役割を果たしてきた。
プロジェクトリーダー:NPO副理事長 大河内博 氏
早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 教授
環境化学を専門分野とし、 アースドクター(地球のお医者さん)を目指しながら、越境大気汚染の実態解明や、ゲリラ豪雨の調査、放射性物質の環境負荷を考えた除染の研究、富士山頂でのマイクロプラスチックの調査など、多岐にわたる研究を行う。
事務担当: 専務理事・ 事務局長 鴨川仁 氏
現・静岡県立大学特任准教授
物理学を専門分野とし、 地震や雷、津波、地吹雪といった地球科学について、物理学の手法から研究を行う。
大河内教授、ならびに今回取材にご対応いただいた鴨川特任准教授は、ラジオ番組での解説や、Youtubeで山頂を舞台にした市民向け講義動画を多数配信するなど、積極的な活動を行われています。
※上記お写真はFm yokohama出演時のお写真より引用させていただきました。(引用元:下記リンクより)
Fm yokohama YES! For You「大気中マイクロプラスチック」① / ②
Fm yokohama YES! For You「自然災害に挑む先端科学」① / ②
こちらのページではラジオ音声とともに、研究テーマについて二教授のお話を聴くことができます。
プロジェクトにかける想い
コロナ禍の影響を受け、NPOは極めて厳しい窮状に。測候所の存続に、支援の手が必要です!
地球規模大気汚染の実態解明や、災害防止につながる雷の研究、富士山の噴火予測など富士山頂での研究は大きな役割を果たしています。また、学生教育や、社会貢献を担う場でもあります。
しかし、極地である富士山頂の施設を安全に管理するには莫大な経費がかかります。収入源だった夏季観測は新型コロナ感染拡大の状況から中止となり、非営利活動法人ゆえに内部留保もなく、さらには公的な援助も受けられないとのこと。いまやNPOは解散の危機に直面しています。
測候所は国立公園の中に位置していて、一度潰れたら再建は不可能とされています。研究の中止で失われるものは計り知れません。
測候所を存続させるために始まったクラウドファンディング。改めてその思いについて、お話を伺いました。
クラウドファンディングを選んだきっかけ
本NPOは、認定NPOであるため、従来型の寄付であればご寄付者は寄付控除を受けられるという利点がありますが、リターンがあるようなクラウドファンディング、つまり寄付とは異なる支援などを取り入れたほうが、ご支援の多様性が高まると判断いたしました。
クラウドファンディングで目指すもの
プロジェクトが成功すればNPOが存続し、旧測候所を維持できる体制を保つことができると考えています。
その上で、参画研究者達は、過去の成果を取りまとめ、すぐれた科学成果として発表できると考えています。
成功に向けた取り組み
①困難も抱えつつ、根気強く準備を続けたこと
NPOには専任スタッフがおりますが、プロジェクトの実施には研究者の理事たちの参画も必要でした。
研究者の多くは現役の大学教員であり、コロナ禍で大学業務が増す中、研究時間も捻出しつつ、準備および実施にあたるのは、至難の業でした。
しかし、ご支援でいただく言葉を通して、旧測候所は日本の重要な財産であることを改めて強く認識しました。
今回初めてとなるクラウドファンディングへの挑戦。大学業務も増す中、研究者の方々と調整しながら準備を進めるのは、想像以上に難しいものだったとお話を伺いました。根気強く準備を進める事こそが、成功への第一歩とも言えそうです。
②日々、活動報告をUPすること
こちらのプロジェクトではなんと毎日、プロジェクトページの活動報告に記事がUPされています。目標達成率やご支援いただいた方へのお礼、 また写真をそえてNPOの活動がわかる内容の投稿など、工夫がなされています。活動報告のまめな更新はプロジェクトの成功率を高める効果があります。
③告知活動について
本NPOは、かねてより年間数十件ほどの新聞、テレビ等の取材を受けておりました。 (→メディア掲載情報へ )
そのときの繋がりと、SNS等のデジタルによる告知の両方を使い、案内を行っております。
資金の使いみち
通常の年であれば4500万円の収入があり、ほぼ同額が支出となります。収入内訳は富士山測候所利用者の施設利用料、NPO会員会費、寄付金、そして競争的研究費などです。支出は天候に左右されます。雪崩や台風により送電線が切れたり、測候所が破損すると想定外の費用がかかり、赤字になります。翌年には負債を支払うために多数の公的研究費に応募したり、研究者が私費を投じたりしながら、まさに自転車操業で14年間、日本の至宝である旧富士山測候所を守り抜いてきました。
(CAMPFIREより)
今年は、新型コロナウイルスの影響で、富士山頂での夏季観測中止によって測候所の利用料収入が絶たれることになりました。しかしながら、当NPO活動を支える人々の雇用費用、旧富士山測候所の整備費用などは必要であり、活動費用として1800万円(事務局家賃および人件費:1100万円、旧富士山測候所維持管理費・送電線維持管理費用:400万円、富士山麓基地維持管理費(借地料・電気代):200万円、その他雑費:100万円)の資金が必要となります。競争的研究助成金も新たに申請していますが、これらが獲得できたとしても300万円が確実に不足する状況です。助成金が獲得できなければ、赤字は膨らみます。
現在、当NPO会員の皆様にご寄付を募っておりますが、会員外の皆様にも広くご支援を賜り、研究助成で対応できない運営費のために、不足する300万円に使わせていただきたいと考えています。
協会スタッフおすすめポイント
夏休みの自由研究におすすめのバーチャル研究体験や、報告会ご招待、サイエンスカフェなど、科学に関われる一大チャンスです!
お名前のポスター掲示に始まり、 旧富士山測候所バーチャル研究体験、山頂郵便局から届く暑中見舞いハガキと会報誌をベースに、富士山頂やその他科学研究についてスペシャルな体験が出来る、クラファン限定のリターンが多数設定されています!
今回、気になるリターンについて、ご質問をさせていただきました。
【質問・1】
旧富士山測候所バーチャル研究体験は、夏休みの自由研究におすすめとの事ですが、写真や気象データを通してどのような発見につなげられるか、教えていただけますでしょうか?
【回答】
このテーマの発案はNPOスタッフでした。
NPOに勤務しつつも、自らの子供の夏休み自由研究のテーマが富士山でなかったことに対して研究者が、データを提供し、解析ツールを用意することで、広く自由研究のテーマを探す親子さんに貢献できるのではないかと考えました。
富士山で得られたデータで、気温が麓と山頂でどれだけ違うのか、 100 mあたり高度が上がると、どの程度気温が下がるのかなど、様々な研究が、小学生の児童や生徒さんでも、生きたデータを使ってできると思っております。
外出もなかなか気軽にできない今、夏休みの自由研究課題に頭を悩ませるご家庭も多くなるのではないでしょうか。こちらのリターンには、自由研究をサポートするエクセルシートがもれなくついてきます。 おうちに居ながら富士山について学べる、有意義でおすすめのリターンです!
【質問・2】
サイエンスカフェについて、研究者のかたから直接レクチャーを受けられるというのは大変貴重な機会と感じます。こちらは、テーマについて興味があれば、どなたでも参加できるということでしょうか?
また、こちらはオンライン以外ですと対象地域はどちらになるのでしょうか?
【回答】
リターンのサイエンスカフェは、ご支援者とその関係者に開放する予定です。
コロナ禍の状況を考えるとオンラインで提供することになる可能性が高いとは思いますが、状況や環境が許せば、対面のサイエンスカフェも対応できるようにいたします。
対象地域は、首都圏が多いですが、首都圏以外の研究者や、研究者の出張なども加味し、できるだけご希望に添えるようにしたいと考えています。
ご自身の好きなテーマを選んで、 世界トップクラス研究者から直接レクチャーを受けられる「サイエンスカフェ」。おひとり様から、ご友人やご家族ご一緒でも受けられます。レクチャーを通して夏休みの自由研究もサポートしていただけます。
開催場所についてもご希望に添い、柔軟に対応していただけるようです。気になる方はプロジェクトページより、どうぞご検討ください。
また、リターンの中で一番人気は「暑中見舞いはがき投函/会報誌発送」版となっています。暑中見舞いはがきは、富士山頂郵便局から投函され、山頂郵便局の消印スタンプが押されており、研究者の手書きメッセージが添えられているとのことです。
来夏に、コロナを乗り越えて、富士山山頂からはるばる届く暑中見舞いはがき。ぜひご自宅に飾って、富士山と、富士山測候所の研究に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
新型コロナウイルスの影響で、NPO法人も窮地に陥っています。多くが公的な援助を受けられないという現状があり、緊急事態宣言が解除されたとしても、活動を中断した影響で、資金繰りができなくなるケースが増加しています。
クラウドファンディングプロジェクトを通じて、NPO富士山測候所を活用する会の活動の現状を一人でも多くのかたに知ってもらい、ぜひリターンを通じて、ご支援の輪を広げていただけたらと思います。
認定NPO法人 富士山測候所を活用する会の活動に応援を、どうぞよろしくお願いします!
メディア掲載情報
1) 週刊新潮
週刊新潮 7月16日号 (2020/7/9発売),「こんな時に特集『富士山が危ない』」, (理事・長尾年恭東海大教授コメント), p42-47
2) 朝日新聞(静岡版・朝刊)
朝日新聞(朝刊), 静岡版「富士山測候所の活動 危機」, 2020/7/9,
Web版 2020/7/9「富士山頂までコロナ危機 観測拠点が3密、夏の活動断念」
3) 毎日新聞(静岡版・朝刊)
毎日新聞(朝刊), 静岡版, 「富士山観測所危機 登山道閉鎖 NPOが運営費募る /静岡」, 2020/7/8
Web版2020/7/8
https://mainichi.jp/articles/20200708/ddl/k22/040/072000c
4) 月刊JMS
長尾年恭, 「旧富士山測候所での研究、コロナ禍で存続の危機」, 月刊JMS, No. 283, 2020年 7月号, p42-45, 2020/6/30
https://jmsweb.jp/wp/wp-content/uploads/jms_contents/2020_07_mokuji.pdf
5) YBS山梨放送
YBSワイドニュース, 富士山測候所 研究拠点が存続の危機, 2020/7/7
6) 産経新聞(朝刊)
産経新聞(朝刊),「富士山頂の観測所存続危機 コロナ影響、支援金募る」, 2020/7/4
Web版 (2020/7/3)
https://www.sankei.com/photo/story/news/200703/sty2007030002-n1.html
7)日本経済新聞(夕刊)
日本経済新聞(夕刊),「富士山頂の観測所 存続危機」, 2020/7/3
Web版(2020/7/3)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61110670T00C20A7CE0000/
8)中日新聞 (夕刊)
中日新聞 (夕刊, 一面), 「富士山頂の観測所 運営危機」, 2020/7/3
9)東京新聞 (夕刊)
東京新聞 (夕刊), 「コロナ禍 富士山頂観測所にも」, 2020/7/3
10) 静岡新聞 (朝刊, 1面)
静岡新聞(朝刊), 大自在, 2020/7/1
https://www.at-s.com/news/article/column/daijizai/781370.html
11) 静岡新聞 (夕刊, 1面)
静岡新聞(夕刊), 富士山頂 研究拠点ピンチ, 2020/6/30
12) 静岡新聞 (朝刊, 1面)
静岡新聞(朝刊), 大自在, 2020/6/25
https://www.at-s.com/news/article/column/daijizai/779411.html
13) 山梨日日新聞(朝刊)
山梨日日新聞(朝刊), 富士測候所 運営ピンチ, 2020/6/23
https://www.sannichi.co.jp/article/2020/06/23/00429409
14) 日本テレビ
日本テレビ 「NNN ストレイトニュース」, 富士山山頂の旧測候所が存続の危機, 2020/6/22
日本テレビ 「NNN ストレイトニュース」, 富士山の旧測候所が存続の危機 2020/6/22
日本テレビ「news every」, 富士山“測候所”存続危機, 2020/6/22
日本テレビ「news ZERO」, コロナ閉鎖で ナゼ?富士山施設が”ピンチ“, 2020/6/22
日テレNews24, 富士山山頂の旧測候所が存続の危機
https://www.news24.jp/articles/2020/06/22/07665403.html?fbclid=IwAR0yc31QdpeqYSZjr7_bm_l3R0mo4u6kyOerA33yw4txwiqsVUlV1WCfdzU
15) テレビ静岡
テレビ静岡, ただいま!テレビ, 富士山史上初の夏山封鎖 観光も研究も・・・大打撃, 2020/6/9
FNNプライムオンライン
https://www.fnn.jp/articles/-/54055