今、まさに士業の存在価値が問われています。

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言により、多くの事業者が苦境に

 2020年4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大により、7都府県に緊急事態宣言が発令されました。これにより、ゴールデンウィーク明けとなる5月6日まで不要不急の外出の自粛、イベントなどの中止要請、劇場や映画館、ナイトクラブなどへの休業要請が行われています。
 さらに、4月17日には緊急事態宣言は全国に拡大され、安倍総理大臣は「不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいで人が移動することを絶対に避けるようお願いする」と述べ、すべての国民に対し不要不急の移動を自粛するよう呼びかけました。

 感染拡大防止の観点ということでは理解はできるものの、我々士業の主なクライアントである中小企業はとても大きなストレスを抱えています。業種によっては売上がほぼなくなるという前代未聞の危機に陥る中、 事業者に対する補償という意味ではまだまだ不確定要素も多い状況です。

 我々士業は、クライアントの事業継続のため、どのようなことができるのかを検討しなければなりません。公的融資や補助金・助成金等の手段に加え、クラウドファンディングという手段を検討してはいかがでしょうか。クラウドファンディングは、融資や補助金とは全く違う目線での資金調達手段です。

 

融資や補助金・助成金等とクラウドファンディングを組み合わせた支援を

 今事業者が抱える大きな悩みは、次の3点だと思います。
① 固定費の支払い(家賃・税や社会保険料・水光熱その他の経費)
② 人員に関する問題(休業させるのか?リモートワーク?休業補償は?等)
③ 売上の減少(顧客の離散や新規獲得できない等)

 

【制度】のスキマから漏れる事業者

日本政策金融公庫や自治体等が、多くの緊急融資制度を行っています。

日本政策金融公庫 新型コロナウイルス感染症特別貸付
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html

融資の条件として、以下のように記載があります。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化を来している方であって、次の1または2のいずれかに該当し、かつ中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる方

1.最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方
2.業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方
(1)過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
(2)令和元年12月の売上高
(3)令和元年10月から12月の平均売上高

日本政策金融公庫HPより

 私は税理士として創業の支援を多く行っている関係上、創業2年未満のクライアントが多くいます。
 創業2年目の事業者は、通常前年と比べると売上は伸びています。当然、人も増やしたり固定費も増やしていることが多く、緊急事態宣言後の売上が半分になっても前年売上と比較するとプラスになっている、というケースが多々あります。当然赤字。事業継続に影響があります。
 そのような事業者は、新型コロナ対策融資は対象外となる可能性があります。

 私のクライアントには、今年の4月に店舗をオープンする予定で動いていた方います。半年から1年かけて開業準備をしてきています。
 そのような方々は前年の売上もなければ直近3か月の売上もなく、いきなり営業自粛に追い込まれていたとしてもコロナ対策融資の対象外となってしまう可能性があります。

 このような場合においても、クラウドファンディングは提案可能な選択肢の一つになり得ます。
 融資とは違い、クラウドファンディングは前年比較などの条件もなく、返済可能性や成長可能性などで評価されません。共感により支援を広げることが可能です。

 

【融資】【補助金・助成金】とクラウドファンディングの違い

 【 融資 】や【 補助金・助成金 】は、当面の固定費の支払いや人件費の支払いには有効です。しかし、アフターコロナを考えると足りていない要素があります。
 それは「顧客の確保」です。

 特に新型コロナウイルスの影響を受けている飲食店などの店舗型事業者は、緊急事態宣言による時間短縮や営業自粛により、従来の販売手段である「来店による売上」が激減しています。従来、サービスや料理の品質で勝負していた事業者が、自店で営業ができないことにより「強み」を発揮できない状況にあります。

 クラウドファンディングを活用すると、このようなお店でも今から将来に向けての売上確保につながります。

 クラウドファンディングでは、 自社の商品をリターンとすることにより、今までの商圏を超えて全国に向けて商品をPR・販売することができます。

オンラインで物産展を行った事例
プレスリリースにより商圏外から注文が入った事例

 

 アフターコロナを見据えて、将来使える割引券などを販売する事例なども数多くあります。

コロナ後に来てほしいと想いを込めて、お食事券をリターンにしている事例
「未来のお客様」を作るためにクラウドファンディングに挑戦する事例

 クラウドファンディングでは、ページ作成するだけで支援が集まるわけではありません。それをどう告知するかが重要となってきています。SNSが苦手な方とかも多いと思いますが、複数店舗で協力して一つのプロジェクトを行うことにより、支援を伸ばしていく事例も増えてきました。

 これらのプロジェクトは、融資や補助金・助成金などの従来型の資金調達手段では成しえない、クラウドファンディングならではの事例と言えるのではないでしょうか。

 クラウドファンディングは、単なる資金調達ではなく、プロモーションやマーケティングを兼ねた資金調達手段です。また、通常は等価交換かつ同時履行(=商品やサービスを提供し、対価を受け取る)である商取引において、クラウドファンディングは将来の商品提供に対しお金を頂く(前受け)が可能になります。(そのため、「先食い」で終わらないようにリターンを工夫する必要があります)

 プロジェクトにお金を出してくれた支援者とはメッセージ機能を通じて相互にやり取りができるため、支援者(≒ファン)とコミュニケーションをとることができ、顧客の繋ぎ止めにも役立ちます。

 

■融資や補助金・助成金とクラウドファンディングを組み合わせた支援を

 上記の理由から、融資や補助金・助成金などを活用し当面の固定費を獲得しつつ、顧客の獲得やプロモーション、コミュニケーションの継続のためにクラウドファンディングの活用をすることで、クライアントの事業継続と、アフターコロナに向けた事業拡大戦略につながると考えています。

 中小企業支援を行う士業の皆様、クラアントの事業継続と事業拡大のためにクラウドファンディングを支援の一つに取り入れてみてはいかがでしょうか。当協会ではプロジェクトの成功に向けて支援させていただきます。

 

 従来の士業の役割は、法律に関する相談と代行業務が主でした。しかし、これからもずっと同じでしょうか。
 インターネットが普及し、今後AI等が発展していった先で、本当に求められる存在になるには、きっとそれだけではダメなはず。今後はクライアントの継続と成長を支援できる士業が生き残っていく。そのための一つの手段として、クラウドファンディングは役に立つのではないかと私は考えています。
 この危機を乗り越え、クライアントと一緒に成長でき、感謝される士業となることのお手伝いができれば幸いです。

 

CAMPFIRE社、新型コロナウイルスサポートプログラムのお知らせ

 只今、当協会と提携するCAMPFIRE社では、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対し、通常の手数料17%(プラットフォーム手数料12%+決済手数料5%)を決済手数料の5%のみとするキャンペーンを行っています。 2020年4月30日(木)AM11:59:59 までにエントリーする必要があるので、ご検討の方はお早めにお問い合わせください。

 

オンライン無料相談会

 当協会では、士業の方向けにセミナーを企画しておりましたが、緊急事態宣言を受けオンラインでの対応とさせていただきました。また、1社でも多くの事業者の助けとなればとの思いから、当面の間無料で相談を受け付けます。
 この機会に是非お問い合わせください。

 

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カテゴリー: Newsコラム